神経を救うV P T治療②C3の虫歯 〜神経まで達したら本当に取るしかない?〜

こんにちは!
西新宿五丁目デンタルクリニック
歯科医師 小坂井竜也です。

前回は虫歯の4段階の内のC1・C2についてお話しました。

今回はいよいよ、
C3(歯髄に達したう蝕)についてです。

① C3=神経を取る、は本当に正しい?

C3とは、う蝕が象牙質を超え、
歯髄に細菌感染が及んだ状態です。

従来はこの段階で
抜髄(神経を取る治療)」が標準でした。

なぜなら、

神経に細菌感染由来、つまり虫歯由来のからの炎症が発生すると、
自然回復はほぼ期待できないからです。

これは今も事実です。

しかし、現在はすべての露髄(C3)が不可逆な炎症になるとは限らないことがわかりました!

②生活歯髄療法(VPT)という選択肢

近年、確立されてきた治療が生活歯髄療法(VPT:Vital Pulp Therapy)です。

感染した神経の部分的に除去し、健全歯髄を保存する。

直接覆髄、もしくは部分断髄法

と言われている処置です。

ここで重要なのは、「どこまで炎症が進んでいるか」という“診断”です。

③ 成功を左右するのは診断と環境

成功の鍵は、処置に移る以前の診断と無菌的操作環境が非常に重要な鍵です

処置前の診断では

✔ 自発痛の有無
✔ 冷温痛の持続時間
✔ 打診痛
✔ 根尖透過像の有無
が挙げられます。

処置中の診断

✔ 露髄時の出血状態(色・止血時間)

が挙げられます

神経が露出した場合で。

暗赤色で止血困難な出血は
深部まで炎症が進行しているサインです。

また、神経が死んでしまっている部分は出血が起こらず顕微鏡下で観察すると。毛細血管のループを把握することができません

逆に、

鮮紅色で数分以内に止血可能な場合、
歯髄の炎症は局所的である可能性が高い。

顕微鏡で観察していくと毛細血管のループが見えてくるのが特徴です。

ここを誤ると、予後は大きく変わります。だから顕微鏡下での診断が必須になります。

顕微鏡の使用により明らかに神経保存の成功率が上がりました。


④ラバーダムと顕微鏡下での処置

当院では、

✔ ラバーダム防湿(Z OO防湿も)
✔ 拡大視野(マイクロスコープ)
✔ 徹底したう蝕除去と無菌操作

のもとで必ず処置を行います。

なぜか?

歯髄保存治療は
封鎖性がすべてだからです!!

細菌の再侵入があれば、
どんな高性能材料でも失敗してしまうのです。

⑤ MTAが変えた予後

ここでようやく材料の話です。

MTA(Mineral Trioxide Aggregate)

・高い封鎖性
・湿潤下での硬化
・持続的アルカリ性
・硬組織誘導能

を持ちます。

濡れた部分でも硬化し、歯髄に修復象牙質形成を促し、
生体親和性が高い。

この材料の登場が、
生活歯髄療法の成功率を飛躍的に高めました。

適切な症例選択と環境下では、
成功率は90%以上との報告もあります。

※MTAは自費治療になります。


⑥ ただし、私は「とりあえず保存」はしません

ここで大切なことをお話しする必要があります。

当院は無理やり神経を残すことを目的に治療する事はありません!

歯を長く機能させることが目的です。

炎症が不可逆、つまりは治らないと判断すれば、
迷わず神経を取る事を選択します。

無理な保存は、
結果的に患者さんの負担を増やします。

⑦ C4まで進むとどうなるか

C4は残根状態です。

ここまで進行すると、保存は極めて困難です。

さらに、神経を抜いてしまった歯は感覚が失われるため、
二次的にう蝕が進行しても自覚しにくい。

だからこそ、

可能な限り神経を守りたいのです。

☆まとめ

C3=即神経をとる!

という時代ではありません。

しかし、

神経を残せるかどうかは
診断力と処置環境で決まります。

当院では

・できるだけ削らない
・できるだけ神経を残す
・ただし無理はしない

このバランスを大切にしています。

患者さんに正直に現在の状態をお話しして、一緒に方向性を決めていく事もありますので

お困りの際はお気軽にご相談ください!

西新宿五丁目デンタルクリニック

院長 小坂井 竜也

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